学力の「もと」の正体

いくらどんぐり問題がスーパーアイテムだとしても、実は学力の「もと」はどんぐり問題とは別のものだと私は思っています。

学力の「もと」とは、実は「生活」そのものなのです。

ですから、子供の毎日の生活の厚み、豊かさ、そういったものが、本当の学力の大元であり、源泉なのです。

 

しかし、いくら生活が豊か(自然の中で遊び中心ですごしている)であっても、勉学について無頓着であったり、方向性が間違っていると、なかなか学力として直結はしません。

 

「どんぐり問題」は、この点において大変優れ、そして理論的に考え尽くされているので、子供の実体験や豊かな感性、そして遊びという名の生活の中で積み重ねられたすべての経験を、ダイレクトに学力と結びつけ、揺るぎない礎を築けるようにできています。

 

「どんぐり問題」は”生活そのもの”を学力へと昇華させていく、いわば”橋”の役割をしているのです。

 

ここで大切なことは、「どんぐり問題」よりも大切な「生活」というものの存在です。

生活が豊か(経済的な豊かさではありません。三度の食事やゆるやかな時間、睡眠の質のことです)で、安心感に満ち、じっくりと何かに取り組むような深い体験をしている子は、「どんぐり問題」をすることで「鬼に金棒!」と言えるほどの素晴らしい学力を築くことができます。

しかし、いくら「どんぐり問題」に取り組んでも、毎日の生活の質が痩せ細っている(親子の視線を合わせない、会話の返事をしない、ご飯をおろそかにする、遊びが少ない、忙しすぎる、スマホ、パソコン、テレビ、ゲームが生活の中心である、常に追われている、常に放置されている)環境では、泉の水は豊かには湧き出ないのです。

 

糸山先生はこのことを、「環境設定」という言葉で表していらっしゃいますが、どんぐり問題への取り組みと併用して、子供の毎日の生活を豊かなものにすること(経済的な意味ではありません)が、本当の学力を考える上で、大変重要だと思います。

自分が親として、大人として与えてあげられる最良の環境を、幼少期と小学校時代の毎日の生活の中で積み重ねてあげてください。そのことが何よりも重要であり、実は手がかかるようで、一生という長いスパンで見たい時には一番手がかからない方法なのです。